CASE & CHALLENGE

事例とチャレンジ

25年以上の実績で培ったノウハウや施設を活用して
EMI測定からEMC対策まで、あらゆるニーズに対応。

〜電波暗室を活用したEMI測定サービス〜

2021.05.23

  • 電気・電子回路
  • オーディオビジュアル
  • モビリティ
  • 家電
EMI測定を行う電波暗室
  • 加藤 壽郎

    第六技術部 第二設計課 課長

    1993年入社。リアプロジェクション、ブラウン管、プラズマ、液晶と、技術・時代の移り変わりとともに様々なテレビの電気設計に従事。2000年代からはEMC対策や電源開発も並行して行うようになり、現在はその部門で課長を担う。

POINT

  • 立会測定、依頼測定、自主測定。様々なEMI測定ニーズに対応
  • 測定だけでなくEMI対策や、EMSも含めたEMC対策までサポート可能
  • 熟練の設計者からiNARTE保有者まで、あらゆる分野のプロが集結

EMI:エミッション、電磁妨害とも言われる。電子機器などから発生したノイズが他の機器に影響を与えること。このノイズが出ないようにすることをEMI対策と言う。
EMS:イミュニティ、電磁感受性とも言われる。他の機器から発生したノイズを受けても、影響を少なくして障害を起こさないようにする耐性。この耐性を上げることをEMS対策と言う。
EMC:電磁両立性とも言われる。EMIとEMSの両立をすること。他の機器に影響を与えるノイズを発生しないようにすること(EMI対策)と、他の機器から発生されたノイズの影響を受けないようにすること(EMS対策)を両立させることを、EMC対策と言う。

開発の背景・課題

IoT化が急速に進み、あらゆる電子機器がネットワークでつながる便利な社会がおとずれています。一方で、通信技術や電子機器の進歩、普及にともなう問題も発生。そのひとつが機器から出るノイズの問題です。ノイズが原因で他機器の誤動作を引き起こしたり、重大な事故の原因につながることもあります。

電子機器の開発ではこのノイズへの対策、いわゆるEMC対策は欠かすことができません。ノイズが発生しやすいAV機器や通信機器の分野では以前から力が入れられていましたが、IoT化が進むことで様々な分野の電子機器でEMC対策が必須になっています。

ソリューション

こうしたニーズに応えるべく、当社でスタートしたのが「EMI(エミッション)測定サービス」です。当社のEMC対策の実績は長く、1995年から受託開発機器のEMC対策に携わってきました。2007年からはEMI測定施設を保有し、AV機器や計測機器を中心に様々な機器のEMC対策を行っています。また、HV、EV、自動運転など、自動車の電装化にともなう車載機器向けEMC対策のニーズが急拡大していることを受け、今年2021年には、車載機器用のEMI測定設備も増設しました。

EMI測定サービスではこれらの施設やノウハウを活用し、経験豊富な当社の技術者がお客様に変わって測定作業を行っています。立会測定だけでなく、当社に測定対象物をお送りいただいての受託測定に対応できるのもこのサービスの特徴。受託測定の場合は、測定仕様をご相談、決定させていただいた後に、測定作業から測定結果のレポートまで当社の技術者が対応いたします。当社の測定施設は24時間利用できますので、開発スケジュールにあわせて柔軟に測定が可能です。EMI測定にかかるお客様の手間やコストを大幅に削減することができると考えています。

測定だけでなく、ノイズ問題を根本的に解決するためのEMI対策や、EMC対策も当社の得意領域です。測定施設を保有するEMIはもちろんのこと、EMS(イミュニティ)も含めたEMC対策には25年以上のノウハウと実績があります。EMC対策では、EMIとEMSを両立させる必要がありますが、EMIとEMSどちらかには有効な対策だったとしても、もう片方が副作用として悪化してしまうことも少なくありません。そのため、別々ではなくあわせて対策することで、EMC対策をよりスピーディーに効率良く進めることができます。

当社には回路、電源、筐体などの設計経験が豊富なメンバーから、EMCの国際技術資格であるiNARTEを保有したメンバーまで、あらゆる技術分野のプロフェッショナルが揃っています。回路や基板パターン、製品構造の変更やガスケット等を用いた対策など、予算やスケジュールにあわせた最適なEMC対策をご提案いたします。

EMI測定サービスの特徴

■ノイズ可視化システム

ノイズレベルと実画像を重ね合わせて表示できるノイズ可視化システムを活用し、ノイズ発生原因の特定を容易にしています。対策の効果も一目でわかります。

■24時間利用可能

当社の測定施設は24時間利用可能です。急なニーズや短納期での測定依頼にも柔軟に対応いたします。

■国際規格に対応

20か国以上の国際規格に準拠した測定が可能です。

成果・今後の展望

この先、より高周波帯のマイクロ波やミリ波を使う電子機器の開発が活発化し、EMI対策、EMC対策がますます重要になっていくことは間違いないでしょう。そんな状況だからこそ、私たちが果たすべき役割も大きいと感じています。技術やノウハウを磨くことはもちろんのこと、お客様のニーズにあわせてサービス自体も進化、変化させていきたいと考えています。

当社施設での測定可能な規格を増やすこと、EMS測定設備の導入など、やりたいことは多々ありますが、まずはできることから少しずつ取り組んでいくつもりです。直近では、測定施設不足が問題になっていることを受けて、当社施設のレンタルもはじめました。放射ノイズや伝導ノイズなどを効率的に測定できる設備を整えていますので、自主測定をご検討のお客様にもぜひご利用いただけたらと思います。

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