CASE & CHALLENGE

事例とチャレンジ

安全性と機能性の両立を目指して。
最終製品を見越したカスタム電源開発への挑戦。

〜カスタム電源の構想から量産導入〜

2021.05.23

  • 電気・電子回路
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  • 家電
  • 加藤 壽郎

    東日本技術本部 第二技術部 第二設計課 課長

    1993年入社。リアプロジェクション、ブラウン管、プラズマ、液晶と、技術・時代の移り変わりとともに様々なテレビの電気設計に従事。2000年代からはEMC対策や電源開発も並行して行うようになり、現在はその部門で課長を担う。

POINT

  • 汎用品では対応できない電圧や電力、形状など様々な仕様に対応
  • 電源単体としてではなく、最終製品を見越したカスタム電源を開発
  • 各種EMC規格への適合と高い性能・機能との両立を実現

EMC:電磁両立性とも言われる。EMIとEMSの両立をすること。他の機器に影響を与えるノイズを発生しないようにすること(EMI対策)と、他の機器から発生されたノイズの影響を受けないようにすること(EMS対策)を両立させることを、EMC対策と言う。

開発の背景・課題

いまやスイッチング電源は、電子機器には不可欠なものになりました。ACアダプター、組込み電源、様々なスイッチング電源が電子機器で活用されています。しかし、電源の要求スペックが決まるのは電子機器の仕様が決まってからで、電圧や電力、形状、耐熱仕様など汎用品の標準電源では対応できないことも少なくありません。

その点オーダーメイドのカスタム電源なら、要求スペックにあわせて柔軟に開発できるため、とくに民生機器の組込分野では多くのカスタム電源が採用されています。ですがここ最近、電源メーカーの多くが生産拠点を海外へと移転したことでカスタム電源が作りにくくなったと、お悩みの声を聞くことが増えていました。

ソリューション

もともと当社は25年以上にわたり、パナソニック製品をはじめ様々な電子機器を開発してきましたが、電源のほとんどを機器にあわせたカスタムで開発しています。この技術やノウハウを活かしてお客様のサポートができないかと立ち上がったのが、本プロジェクトです。

当社のカスタム電源の特徴は、小ロットからでも最終製品を見越した開発が可能な点。なかでも、国内外の安全・EMC規格を遵守しつつ、高い性能や機能と両立させる設計を得意としています。たとえば、電源単体ではEMC対策ができていても、製品に組込んだ際にノイズが発生しないとは限りません。当社の場合は電源だけでなく、制御回路基板や筐体、機構などもあわせて開発を請け負うことも多いので、電源をどう設計すれば最終製品としての安全性、機能性を高められるかを熟知しています。

カスタム内容として、電圧、容量、出力数、形状、サイズなどのご相談をいただくことが多いですが、ご要望にあわせてあらゆる仕様に対応することが可能です。電源だけはもちろん、ハード面まるごと、制御やアプリケーション、クラウド連携といったソフト面も含めた製品まるごとのご相談や実績も多数あります。

開発実績
設備名 入力 出力 用途等
AC/DC 100-240V AC ~500V DC 汎用電源、AV機器、LEDバックライト・証明
燃料電池等 5kWクラスまで
DC/DC 12V DC等 1~60V DC デジタル回路用電源等
昇降圧対応可能 10Aクラス
DC/AC 100V DC等 ~240V DC パワコン等
DC/DC 39~57V DC 32V~52V DC 双方向(バックブースト)コンバーター1kWクラス

*数十W~数kWまでの多様な電源開発実績。絶縁/非絶縁の両方に対応

成果・今後の展望

今までの実績として、ACアダプター駆動の小型製品や、1kW超えの大電力が必要な設置型製品、国内だけでなく海外向け製品など、幅広い機器の電源を開発してきました。とくにAVや家電、計測機器などは実績やノウハウも豊富です。カスタム電源の開発では、構想から仕様決定、トランス・基板設計、法規対応、量産導入までが現在対応できる範囲ですが、今後は量産も対応できるように準備を進めています。もちろん、それまでも提携工場への繋ぎや量産時の細かい対応などは最大限サポートいたしますので、電源でお悩みの際にはご相談ください。

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