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海外大手電力会社様向け
系統用蓄電池事業における市場取引システム開発

エネルギー

プロジェクト概要

海外大手電力会社様の日本参入に伴い、系統用蓄電池ビジネスの市場取引システムをAWSサーバーレス構成で開発。日本の複雑な電力市場ルールへの対応と高可用性を実現した。

プロジェクト期間 : 8.5か月(フェーズ1~フェーズ2まで。現在もフェーズ3が進行中)※2026年5月時点

プロジェクトメンバー

  • T.N
    プロジェクトリーダー

    T.N

    入社6年目

  • Y.S
    プロジェクトマネージャー

    Y.S

    入社26年目

  • N.Y
    営業

    N.Y

    入社4年目※キャリア入社

  • N.Y
    バックエンド開発リーダー

    N.Y

    入社7年目

  • A.I
    バックエンド開発メンバー

    A.I

    入社2年目

  • K.F
    バックエンド開発メンバー

    K.F

    入社4年目

  • K.M
    フロントエンド開発リーダー

    K.M

    入社1年目※キャリア入社

  • A.T
    フロントエンド開発メンバー

    A.T

    入社14年目

  • H.H
    フロントエンド開発メンバー

    H.H

    入社2年目

  • M.T
    フロントエンド開発リーダー

    M.T

    入社3年目

  • Y.F
    フロントエンド開発メンバー

    Y.F

    入社4年目

  • S.M
    検証リーダー

    S.M

    入社22年目

  • K.Y
    検証メンバー

    K.Y

    入社1年目

※2026年5月時点

プロジェクト背景

お客様である海外大手電力会社様は、日本国内における大規模系統用蓄電池ビジネス(※1)の立上げに伴い、日本特有の電力市場ルール(電力の売買や需給調整の仕組み)に対応した市場取引システムの開発を必要とされていました。当社は、開発パートナーとして、その市場取引システムの開発を担当し、パブリッククラウド(AWS)上に、電力の取引計画を最適化するシステムを構築しました。
本システムでは、電力予測データや入札計画の管理に加え、分散型エネルギーリソース運用戦略支援システム(※2)やアグリゲーターシステム(※3)など、複数の外部システムとのAPI連携をAWSサーバーレス構成で実現しています。

※1 系統用蓄電池ビジネスとは、送配電網(系統)に直接接続された大規模な蓄電池(蓄電所)を活用し、電気が安い時間帯に充電、高い時間帯に放電することで、電力市場の価格差や需給調整機能を利用して収益を上げる事業を指す。再生可能エネルギーの普及に伴い、電力需給を安定化させるインフラとして注目されており、日本では2030年に向けて市場拡大が期待されている。

※2 分散型エネルギーリソース運用戦略支援システムとは、太陽光、蓄電池、EVなどのエネルギーリソースを一元管理し、電力市場への最適参入や系統安定化を支援するシステムのことで、気象データや市場価格の予測を元に、充放電の最適化計画を自動で立案する。

※3 アグリゲーターとは、多くの需要家が保有するエネルギーリソースを束ね、需要家と電力会社の間に立ちながら、電力需給バランスの調整やエネルギーリソースの有効活用を支援する事業者を指す。

当社に求められていた役割を教えてください

電力の市場取引システムには、リアルタイム性や高頻度なデータやり取りに耐えられる強固なデータベース、高い可用性などが求められます。その中で当社には、日本の複雑な電力市場ルールへ対応しながら、安定して運用できる市場取引システムを構築する役割を期待されていました。パートナーとして選定いただいた理由については、これまで大手メーカー様向けにAWSを活用した開発案件を多数手掛けてきた実績を評価いただいたと考えています。

プロジェクトに使用した主な技術スタックを教えてください

開発にあたっては、以下の技術スタックを使用して進めました。
パブリックサーバー:AWS
言語:JavaScript, TypeScript
サーバーサイド:Node.js
DB: MySQL, NoSQL
フロントフレームワーク:Vue.js

業界や商材ならではのエピソードを教えてください

系統用蓄電池ビジネスの市場取引システムでは、外部サービス連携として30分ごとに電力データを処理することが求められます。市場側の入札期限とアグリケーター側の入札期限が完全には一致していないため、それらを考慮しながら、市場取引システムの処理時間が問題ないかを実際の運用フローを見据えて検討し、最適なリアルタイム処理を実現する必要がありました。これはこの商材ならではの難しさだったと思います。
また、本システムはアグリケーター側との連携も行っていますが、今後連携先のアグリケーターが増えることもあるので、それらを見据えながらシステム構築を行う必要もあります。
今後も運用を進めながら、より最適なデータ管理方法について継続的にお客様と議論していきたいと考えています。

さらに、業界の特性上、セキュリティや運用面で、高レベルな可用性も必要でした。市場取引システムは顧客利益に直結するため、お客様としてもシステム停止は極力避けたいという要望がありました。非常にハードルの高い案件ではありましたが、お客様と積極的に議論を重ね、「止まる可能性をどれだけ減らせるか」という観点で提案を行いました。システム構成やAWSの可用性に加え、停止時の代替案なども含めて提案を行い、双方が納得できる着地点を見いだすことができました。

プロジェクトを進めるなかで、直面した壁はありましたか?

海外大手電力会社様の日本参入事業ということもあり、お客様側でも日本の電力市場ルールやアグリケーター仕様への理解が十分ではない点があり、プロジェクト初期は仕様変更が発生することがありました。
また、プロジェクトチーム内でも、仕様変更に伴い、フロントエンドとバックエンド間で認識のズレが発生する場面が度々ありました。
さらに、エネルギー市場向けシステムの構築は当社として初めての案件だったため、顧客要望や要件、特にシステムフローや運用フローについては、当社側でも妥当性を判断しづらい部分がありました。そのため、これまで以上にお客様との密なコミュニケーションに多くの時間を割く必要がありました。
加えて、開発中は電力会社様だけでなく、連携先のアグリケーター様との調整も必要でした。当初は顧客を介してコミュニケーションを行っていたため、アグリケーター様との情報連携スピードに課題を感じる場面もありました。

それを乗り越えるためにチーム内で議論や工夫をした点はありますか?

お客様の状況も踏まえ、当初からアジャイル開発を提案し、実施していました。2週間単位のアジャイル開発とし、後からでも修正できるバッファを組み込みながら開発を進めました。これまではウォーターフォール型の開発プロジェクトも多かったのですが、今回はアジャイル開発を採用したことで、短期間での柔軟な仕様変更にも対応でき、お客様の要望に応えられたと思います。
また、プロジェクトチーム内では、毎日の朝会での合同レビューや、ツール導入によるタスク・負荷の可視化を徹底し、外部要因による急な変更にも認識のズレなく即応できる柔軟な開発体制の構築に努めました。
時には臨時打合せの場を設け、フロントエンド・バックエンド双方の状況共有を行いながら、課題を丁寧に解決していきました。プロジェクトメンバーは、自身の開発領域外については詳細に把握しきれていない部分もあったため、お互いの状況や進捗を共有する場を設けることで、連携強化や認識齟齬の解消、開発効率化につながったと感じています。
大規模プロジェクトでは、各担当が自分の領域だけを見るのではなく、互いの担当スコープを理解しながら進めることの重要性を実感しました。
お客様とのコミュニケーションについては、こちらの経験不足もあり、当初は多くの時間を頂く場面もありましたが、お客様にも積極的にご対応いただき、結果として信頼関係を築くことができたと思います。
また、アグリケーター様とのコミュニケーションについては、当初はお客様経由で行っていましたが、よりスムーズな連携を行うため、アグリケーター様と当社が直接やり取りできる体制を提案しました。

このプロジェクトでやりがいを感じた点を教えてください

仕様変更や高可用性への対応など、厳しい局面の多いプロジェクトでしたが、将来のカーボンニュートラルに向けたGX推進へ直接貢献できるという「社会的意義」をチーム全体で共有できていたことは、大きなやりがいにつながっていました。
お客様から「今回開発したシステムを毎日使っている」と伺った際には、自分たちが開発したシステムがお客様のビジネスに直接役立っていることを実感でき、チーム一同、大きな喜びを感じました。
また、これまで当社として実績の少なかったエネルギー領域へ挑戦し、成果を残せたことで、会社としての開発案件の幅も広がり、会社への貢献度も大きかったと感じています。

パーソルAVCテクノロジーならでは!と感じる点はありましたか?

当社では、検証部隊と開発部隊が別部門として分かれているため、それぞれの専門領域に特化しながらプロジェクトを進められる点は、当社ならではだと思います。
開発チームは開発に専念し、検証チームは検証へ専念できる体制となっており、さらに、それぞれの専門的な視点からレビューを行うことで、品質担保と開発効率の両立を実現できていると感じています。

チームとして成長した点を教えてください

これまではパナソニック関連案件が中心でしたが、今回は電力市場向けのお客様ということで、業界やサービスがこれまでとは大きく異なる開発案件でした。その中で、これまで開発現場で当たり前だと思っていた進め方や認識が、必ずしも当たり前ではないことを改めて再確認する機会になりました。お客様との会話においても、自分たちの前提を当然と思わず、一つひとつ「このような認識であっていますか」と丁寧に確認しながら、認識合わせや視線合わせを行う重要性を再認識する機会になりました。
また、本プロジェクトを通じて、電力取引市場入札や仮想発電所、充放電計画、アグリゲーション連携などの専門業務知識に加え、AWSサーバーレス構成による高速処理のノウハウも習得することができました。ここで培った技術力や業務知識の総合力は、当社の確かな専門性となり、今後のエネルギーテック領域におけるプレゼンス向上にもつながっていくと期待しています。

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