CASE & CHALLENGE

事例とチャレンジ

お客様の現行システム・ソフトウェアはそのまま利用可能。低コスト・簡単接続のリモートメンテナンス実現へ。

〜リモートでの監視/メンテナンスサービス、「リモートメンテナンスユニット」開発〜

2021.05.15

  • デバイス制御ソフト
  • インフラ
  • 中村良光

    高校時代からコンピューターに触れて育つ。光ディスク開発を10年経験した後、AV機器用アプリ開発、テレビなどの組み込み開発などに従事。「リモートメンテナンスユニット」のプロジェクトリーダー。

  • 蘆村光則

    データ放送関連のソフト開発、車載用デジタルチューナー開発、業務用放送機器開発、8Kレコーダー開発、アプリ開発など多方面で活躍。第八技術部第四設計課 課長。

開発の背景・課題

あらゆる設備、機器に必要な監視/メンテナンス作業をリモートでいつでもどこからでも行えるようになれば、大きなコスト削減になりますし、万が一機器に異常が発生した際にも迅速に問題発見・解決を図ることができます。そうしたリモートによる監視/メンテナンスの有益性は広く認知されつつあり、「遠方に設置された産業機器・設備をリモートで監視・保守したい」、「海外工場の機器・設備を、日本国内からメンテナンスしたい」といった社会的ニーズはここ数年、一気に高まりを見せています。拡大するニーズに対応するため、私たちが現在、開発に取り組んでいるのが「リモートメンテナンスユニット」というサービスです。

POINT

  • 専用の通信ユニットを一般的なコネクタに差すだけで使用可能。
  • 専用LTE回線を使用するため、既存ネットワークの変更が不要で、安全性も担保。
  • 簡単接続。ランニングコストも安価で、導入が容易。

ソリューション

リモートで監視/メンテナンスを行えるサービスはすでに世の中に存在していますが、初期費用やランニングコストが高額になってしまうケースも多く、資金に十分な余力のない企業にとっては選びにくいものでした。そこで私たちは、企業規模を問わず多くの企業が“選びやすく”、また“選びたいと思えるだけの利便性”を追求しながらサービスを形作ってきました。

「リモートメンテナンスユニット」の特長は大きく3つ。①低コスト、②簡単接続、③お客様が使用している現行のシステムやソフトウェアをそのまま使用可能という点です。

専用に開発された機材や、ネットワーク、専用のシステムの開発という従来のリモートメンテナンスの課題となっていた部分をいかに汎用的で使いやすくするかに絞ることで、お客様の使用している機器やシステムはそのままに、間の通信部分を無線化することに特化した機器の開発を目指しました。

システム構成

「リモートメンテナンスユニット」は、パートナーシップを結んでいるSORACOMの通信回線を活用することで、ランニングコストを最低限に抑えることに成功(現在のところ、国内通信であれば1ヶ月の通信で昼食代1回分程度の費用になると推定しています)。遠隔操作を可能にする“通信ユニット”もシンプル構造を心がけて製造コストの最小化を叶え、現在は24時間稼働で長期間故障なく作動する耐久性を高めている段階です。

また、“通信ユニット”を監視/メンテナンスの対象機器に接続する際も、特殊な工事や改修など不要。RS-485やRS-232Cといった一般的なコネクタに、ユニットを差すだけでLTE回線での通信が可能になります。独自の通信環境を整備することなく、日本中に張り巡らされたLTE回線を活用することで通信エリアをカバーします。さらには、お客様がこれまでメンテナンスのために使用してきたツールやソフトもそのままお使いいただけますので、使い勝手は変わらずにリモート化することができます。

「リモートメンテナンスユニット」は現在、実証実験段階ですが、大きなトラブルなく進捗中。使用感をさらに高めるための改善を加え続けています。コスト面でのメリットを感じていただけることはもちろん、不要なお手間もかけないリモートメンテナンスサービスを実現するため、プロジェクト一丸で引き続き取り組んでまいります。もう間もなくサービスを提供できる体制が整うと考えています。

成果・今後の展望

「リモートメンテナンスユニット」は、安価かつ容易に遠隔操作を実現する仕組み。この仕組みを応用できる場面も様々あると考えています。IoT化の加速させる一翼も担えるかもしれません。例えば、日本中の公共設備のIoT化に応用できる可能性も十分にあります。また、この回線を使って映像をやりとりすることもできますから、そこからまた新しい便利なサービスが生まれるかもしれません。用いている技術やユニット機器の構造も、非常にシンプル。それだけに、私たち人間のアイデア次第で活用の幅はいくらでも拡げていけます。夢と妄想を膨らませて、様々なサービスや製品への展開を検討したいと思っています。

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